中学生の頃。
BCLが流行っていて、良くラジオを聞いていた。
BCLラジオなんて買えなかったので、3バンドのラジカセで海外放送を聞いたりしていた。
ちょっと前に、クーガー101 を買った。
もちろん中古で。
当時、欲しくても買えなかったラジオだ。
短波にバンドスイッチを合わせてチューニングダイヤルを回すと、雑音とフェージングの中から海外の放送が聞こえてきた。
英語、中国語、日本語・・・得体の知れない言語(自分が知らないだけだけど)。
聞いているだけで言葉は分からなくても世界のどこかの放送と言うだけでわくわくした。
聞こえなければ、家中にケーブルを引き回し、アンテナにして感度を上げてみる。
ブースターをつくってみる。
アンテナチューナーを作る。
どれだけ努力をして、ラジオを聞いていた事か。
それが、ネットを使うといとも簡単に放送が聴ける。
国内のAM、FM放送だけでなく、海外の放送局がネットで配信をしている。
今見つけたのはラワルピンディからの放送。
パキスタンの放送局だ。
当たり前だけど、ノイズも、フェージングもなくクリアにしっかりと聞こえる。
沢木耕太郎の小説、「深夜特急」を読み、想像した世界。
大沢たかお主演の、「深夜特急」で見、聞きした世界。
ネットで、バックパッカーの体験談を読み、想像した世界。
何事もなく当たり前に iPod から流れてくる音。
ラジオ放送を聞くために、チューニングをするというあの儀式はどこへ行ってしまったのだろう?
宝物を探すように、耳に全神経を集中し、指先を微かに操作する。
そして、目的の放送局を探り当てた時のあの興奮。
今は、昔の物語なのだな。
ラジオが衰退していくわけだ。
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