ぐるっと日本を旅してみた Vol.74
鹿児島県に入ってからずっと天気が良い。
9月に入ったのに 30度超えの日が続いている。
南国に来たという思いと同時に
まだまだ夏が終わっていない気がした。
僕らの夏は、まだまだ続いていた。
そして、北上する旅は一旦やめて、
更に南へと旅を続けていく。
ますます暑くなる気がする。
今日も良い天気だ。
ホテルを出ると、宮崎方面へ向かった。
途中、仙厳園とか、西郷隆盛蘇生の家とか、観光バスが止まるような観光名所をいくつも横目に車を進める。
まずは、洗濯をしたかったのだ。
そして、今日の夕方までに車を鹿児島空港の駐車場に停めて鹿児島港に向かわなければならないのだ。
鹿児島空港へ向かうために姶良市にあるコインランドリーで洗濯をする事にした。
国道沿いにあるコインランドリーに洗濯物を放り込むとしばらくやる事がない。
近くに「黒川岬展望公演」というのがあるので、何があるかわからないがいってみる事にした。
日木山川が錦江湾に注ぎ込む場所に黒川岬があった。
目の前には桜島が噴煙をあげている。
かつては、島津氏と肘付氏が合戦を行い初めて鉄砲を使った戦さが行われた場所だそうだ。
今、僕らの前には悠然とした桜島と太陽に照らされて輝いている錦江湾が見える。
近所の猫だろうか?一匹の猫が目の前を横切っていく。
その猫を追っかけてみたりして、のんびりとした時間が流れている。
洗濯物が仕上がるまでもう少し時間がある。
日差しがだんだん強くなってきた。
もうちょっとここにいて、スーパーで飲み物でも買って行こうか?
猫が背伸びをして、こちらの事は気にもせずに草むらへと入っていった。
そろそろ戻る事にしようか。
2日前、指宿の駅駐車場で沖縄行きの行程について考えていた。
フェリーの料金と、那覇−鹿児島の飛行機の料金があまり変わらない事が分かったのでフェリーと飛行機を使うことにした。
まず、車を港の駐車場に置いて、マルエーフェリーで1日かけて那覇港へ行く。
到着は翌日の午後7時。
そこから3泊して中2日を観光に当てて、4日目に飛行機で鹿児島へ戻ってくる。
おぼろげながらそんな行程を考えていた。
しかし、飛行機の時間を調べて驚いた。
朝7時台と夜8時の便しか無いのだ。
早朝便はちょっと乗るのが大変だなぁ。どうしようか?
そう思った時、ふとひらめいた。
夜の便に乗ればその日中に観光ができるなぁ。
とすれば、2泊3日で2日目、3日目に観光して3日目の夜の便で鹿児島へ戻れば1泊少なくできるぞ、と。
しかし、夜9時に鹿児島空港に着いてその日の宿はどうする?
実は、鹿児島市内から鹿児島空港の間は車で1時間、高速を使っても40分位かかる。
キャンプは無理だからホテル泊まりになるだろうが、鹿児島港に車を置くと取りに行けなくなってしまう。
で、あれば空港の近くで宿を取ることにした。
実際は、近くには取れなかったのだが車は空港の駐車場に置くことにした。
こうして指宿で沖縄行きを決めた。
姶良市で洗濯が終わった僕らは、鹿児島空港へ向かった。
地方ローカル空港だろう、と思っていた鹿児島空港は思いのほか大きかった。
広い駐車場は車で埋まり、利用者が多いことを感じさせた。
ここに車を4日間置く事にする。
沖縄へ行くための荷物をまとめると車に鍵をかけた。
まずは、お昼。
空港内のレストランで食事をしようと中に入った。
「山形屋食堂がある! 焼きそばを食べようよ」
ミィが見つけた山形屋食堂は、鹿児島市内の山形屋デパートが出店しているレストランだ。
焼きそばはいわゆるあんかけのかた焼きそば。
長崎の皿うどんのような感じで、山形屋の焼きそばと言えばこれが定番なのだそうだ。
焼きそば大盛りと海鮮焼きそばを注文した。
皿いっぱいに盛り付けられた焼きそばは、パリパリの方焼きそばだが少しずつあんの汁気を吸って柔らかくなってくる。
大盛りが大盛り過ぎてビックリだが、野菜がたっぷり入っていて美味しい。
途中で三杯酢をかけると、さっぱりした感じになりさらに食べ進む事ができた。
「美味しい!美味しい!」と、夢中になって食べてしまう。
美味しかった。
ごちそうさまでした。
飛行機に乗らなくても空港は楽しい。
レストラン街で食事をし、
ショップで買い物をする。
空港や飛行機に関したグッズがあったりして楽しい。
展望デッキに行けば離発着する飛行機を眺める事ができる。
場合によっては航空資料館のような物が併設されていることもある。
空港外になるが近隣に建てられている事が多いのだが、ここ鹿児島空港は、空港内に資料館「SORA STAGE」があった。
レストラン街の手前にシンプルな装飾の入口がある。
一見すると何の入口か分からないのだが、「SORA STAGE」の文字を確認しながら中に入ると階段があり、そこを登ると通路に沿って飛行機の歴史についての展示がある。
展示を眺めてさらに進むとホールになっていて、エンジンや、実物大の機体と座席があったり、フライトシミュレーターがある。
一通り展示を眺めた後は、展望デッキへ出て飛行機を眺めていた。
東京や大阪へ行く大型機の他に離島へ行く小型機が大きな音を立てて飛び立っていく。
鹿児島空港は離島へ飛ぶ便があるからこれほど大きな空港なんだな、ようやくその事に気づく。
僕らはしばらくその様子を楽しんでいた。
鹿児島空港からは、バスで鹿児島中央駅へ出る事にした。
大型のバスが15分毎に出発している。
荷物を床下のトランクに入れて車内に入ると間もなく出発した。
バスは高速道路を通って鹿児島市内まで40分くらいで結んでいる。
山の中を進んでるなぁ、とは思ったがいつの間にか寝てしまい気づけばバスはもう市街地に入っていた。
午後2時頃、定刻通りに鹿児島中央駅前のバスターミナルに到着した。
次のバスに乗るまで2時間ほど時間があったので、駅を散策する事にする。
駅前には薩摩の偉人達をまとめた像が立っていた。
見たことあるような無いような、大勢立っている。
鹿児島中央駅は、新幹線の南の終着駅。
商業施設も併設した大きな駅舎だ。
駅舎の上に大きな観覧車「アミュラン」が乗っていた。
「あれに乗ってこよう」
鹿児島中央駅の写真なんかを見るたびに気になっていた観覧車。
ここまで来たのだ乗ってみようと思った。
アミュプラザの6階に上がると映画館とゲームセンターがあった。
そして中央にアミュランの乗り場がある。
券売機でチケットを買うと、平日で誰も乗ることのない観覧車に2人で乗ってみる。
シースルーのゴンドラもあるようだが、ノーマルのゴンドラに乗り込む。
ゴンドラはゆっくりと高度を上げていく。
下を見ると、路面電車が走っている。
そして、新幹線が足元に見える。
市街地の向こう側は海でその先に桜島が見えた。
高所恐怖症ではないが、それでも足の裏がむずむずするような感じがある。
ミィは平気なようであっちを見たり、こっちを見たりと忙しそうだったが、その度にゴンドラが揺れる気がしてちょっと落ち着かなかった。
最頂部から徐々に降り始めて降り口に到着した。
係員に誘導されてゴンドラを降りると、足元がしっかりしていてやっと落ち着いた。
これから長距離フェリーに乗るが、台風が近づいているとのニュースも流れていた。
酔い止めの薬が欲しいなと、ドラッグストアへ行ったがそれでもまだ時間に余裕があった。
僕らはもう少しアミュプラザで時間を潰す事にした。
鹿児島中央駅前の鹿児島新港行きバス乗り場に人が集まり始めていた。
大きな荷物を持った人。
手ぶらで来た人。
海外からの旅行者。
到着したバスに乗り込んでいくが車内が混むようなことはなかった。
バスはフェリー乗り場への直通だと思っていたのだが、通常の路線バスのようだ。
手ぶらで乗っていた人は町中のバス停で降りて行った。
最終的には明らかな旅行者しか残らなかった。
やはりフェリーのためのバスなのだ。
鹿児島から那覇へ向かうフェリー航路は、A”LINE と言うらしい。
マルエーフェリーと、マリックスラインという会社が交互に運航しているが、マルエーフェリーの船がドック入りをしているので今日乗るのはマリックスラインの船 クイーンコーラルプラス だ。
窓口は特に並ぶことも無く、乗船手続きを終えた。
乗船まで少しだけ時間が合ったが、今 A’Line ではウルトラマンとコラボキャンペーンをしていた。
「ゴー!ゴー!ウルトラ大航海」
キャンペーン期間中なのであちこちにウルトラマンのグッズやポスターが貼ってあり、待合室には桜島をバックにウルトラマンとバルタン星人の巨大アートがあった。
「これ!これ!これ!」
ミィは大興奮だ。
船によってはウルトラマンとのコラボ客室もあるようだだった。
ただ、今回乗船するマリックスラインの船ではなく、運航を休んでいるマルエーフェリーの船に設定されているようなのでちょっと残念。
それでも、ウルトラマンを見て楽しんでいたが、まもなく、乗船時間となった。
那覇行きのフェリーに乗船する。
大きな船だが、今まで乗ったフェリーと言うよりは貨客船の様な感じで客室や共用スペースはあまり広くなかった。
船内も5分もあれば一通り回われてしまうくらいだ。
個室もあるが僕らは2等船室、簡単な仕切りとマットレスと毛布があるだけの雑魚寝部屋だ。
僕らの指定席は、マットレスが並んだ角地で畳半分ほどのスペースが余計にあった。
そして、コンセントも目の前にあるのでスマホの充電にも困らない特等席だった。
250人位が入る大部屋だが、2、30人くらいしかいない感じで1〜3人くらいづつが離れて場所を指定されているので他の人があまり気にならなかった。
ぎゅうぎゅうに混雑していたらちょっと嫌だなと思っていたのでホッとしている。
夕飯は船のレストランで食べる事にした。
メニューを眺めていてミィが嬉しそうに
「鹿児島名物の鶏飯がある!
鹿児島来たのに食べなかったねぇ。」
と、言った。
鹿児島の奄美地方のローカルフードだという。
他は、カレーとかラーメンとかだったので、鶏飯を食べる事にした。
僕は、鶏肉の炊き込みご飯だろう、と思っていたが目の前には意外なものが置いてあった。
丼に入った鶏の炊き込みご飯風なのだが、たっぷりの鶏がらスープがかけてある。
雑炊、というよりお茶漬けに近いかもしれない。
スープたっぷりの汁かけ鶏ご飯なのだ。
これが美味しい。
鶏の出汁が効いていて、塩加減の良いスープでサラサラっといける。
酒を飲んだ締めにもいいのかも。
こんな事なら鹿児島市内で鶏飯の店を探して食べれば良かったかな?
僕はちょっと悔やんだが、ここで食べる事ができたので良しとしよう。
ほんと、美味しかった。
ごちそうさまでした。
廊下に出るとちょっとした行列ができていた。
風呂に入る人達らしい。
小さな風呂なので4、5人でいっぱいになるようだ。
風呂を後回しにして甲板に出てみる。
船は、港を離れ錦江湾を進んでいく。
風が気持ち良くて、揺れる船に身を任せて周囲の夜景に目をやった。
出港から2時間くらい経っただろうか、鹿児島市の灯りや桜島が後ろに小さくなると、右手の暗がりの中に開聞岳の姿が見えてくる。
これを過ぎるといよいよ錦江湾から東シナ海、外海へと出るのだ。
長い船旅は、まだ始まったばかりだった。
2023/09/06(水)
天候:曇りのち晴れ 最低 25.8℃/最高 32.8℃
鹿児島県鹿児島市〜霧島市〜鹿児島市
走行距離:38.9km(車移動のみ)
総走行距離:10299.3km(車移動のみ)
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