ぐるっと日本を旅してみた Vol.57
「さて、どうしようか?」
浜田市のスーパーの駐車場で僕は悩んでいた。
この先、どう進むのかを決めないまま出発したのだ。
このまま進んだ益田市で道は二手に分かれる。
今走っている国道9号線を進むと益田市から内陸へ入って山口県の県庁所在地山口市へ行くことになる。
目的地ではある。
もう一方、国道9号線を外れて海沿いを進むと萩市へ出る。
吉田松蔭ゆかりの地だ。
街並みもキレイな場所だと聞くので行ってみたい気もする。
とりあえず益田市まで進んで考えよう。
僕は車を進めた。
「お昼を食べよう」
国道9号線を走って益田市にはお昼頃に着いた。
まずは、腹ごしらえだ。
見つけた食堂に入ったらそこは居酒屋だった。
「居酒屋はやと」さんはランチもやっていて、店は混んでいた。
「なにこれ!」
メニューを見てミィが驚きの声を上げた。
いい男定食(とんかつデカ盛り 男カツ 5本)
私の彼 (カツカレー)
私の彼 ステキ (カツ+海老フライ カレー)
男カツ定食(男カツ 3本)
彼女はセンター (チキン南蛮、サラダ、アイス)
などなど、よく分からない名前が並んでいる。
徳、徳セット を頼んだら、
ブリ炊き、唐揚げ、サラダに味噌汁のセットだった。
ミィは、
あけぼの本町4-2 を頼む。
これは、チキン南蛮の定食。
何でこんな名前なんだ?
なんか面白い店だったけど、味は良い!
美味しかった!
ごちそうさまでした。
萩市へ向かう事を考えたのだが、ここ益田市が芝犬の祖がいた場所だと知り、そちらの方が気になった。
犬好きのミィは、もちろん芝犬を見たいと言う。
僕らは、この先の行程を一旦保留にして芝犬の聖地へ向かった。
国道9号線を離れ、国道191号線を進み山間部へと入っていく。
30分ほど進んで国道から逸れて県道へ。
ループ橋のような橋を渡ると林道へ入っていく。
林の中の狭い山道を進むと開けた場所に駐車場があった。
その駐車場に車を停める。
ずいぶん山の中にあるんだなぁ、と思った。
駐車場から先は上り坂になっていて目の前に段々畑が見える。
その上に1軒の平屋が見えた。
「あれかな?」
僕らはその坂道を歩いて登った。
左手に沢が流れていて、右手が畑になっている。
1軒屋の前まで来た。
ポツンと一軒家。
その家全体が記念館になっているわけではなく、外側に面んした一部屋が開放されている。
芝犬の系統を遡っていくと一頭の犬にたどり着きます。
それが石州犬「石号」だ。
その石号に関する資料がたくさん貼ってあり、芝犬の祖を見つけるまでの話が書いてあった。
家の前に石号の石像があるが、「石」という隠し文字が刻まれているらしい。
ミィと2人で探したが見つけられなかった。
どこにあるんだろう? と、顔を見合わせた。
それに、芝犬を見ることができなかったのは、残念だった。
「石号記念館」から少し戻った所で右へ下っていく道があり、その先に駐車場があった。
ここは、双川峡(そうせんきょう)。
三隈川の支流に位置する渓谷で、養戸の滝を中心に景色のキレイなところとの事。
遊歩道は、滝まで 150mなのでさほど時間もかからない。
僕らはゆっくりと渓谷沿いの遊歩道を歩いて行った。
渓谷を流れる水の音が響き渡る。
気温も少し下がっているのだろう、とても心地が良い。
ふと脇を見ると獣(?)の骨が落ちてる。
下顎で牙あるんだが、なんだこれ?
遊歩道の行き着く先が養戸の滝。
ごうごうと音を立てて水が流れ落ちている。
滝の間近までは行くことはできないが、迫力のある光景だった。
日本一周なんて旅をしていなければ見ることができなかっただろう。
双川峡は、そんな場所の一つだった。
どんどこ、どんどこ、どん・・・・。
太鼓の音と威勢の良い掛け声が聞こえてきた。
道の駅でイベントをやっているようだ。
臨時駐車場に車を停めて道の駅サンエイト美都へ行ってみた。
大きな舞台ができていて、それを大勢の人達が見ている。
一眼レフを構えた人も何人かいる。
それは、石見神楽だった。
名前は聞いたことがあったが、もちろん見たことは無い。
舞台上では、人、鬼、般若が刀を振り上げて、入れ替わり立ち替わりくるくると回りながら舞台全面を使って動き回っている。
そして、後ろに貼られた幕の中へ1人づつ消えていく。
これで終わりかと思うとまた幕から人が現れて別の踊りを踊っていく。
これを何回か繰り返し行われる演舞だった。
やがて、クライマックスを迎えると神楽が終わった。
休憩を挟んで次の演目が始まるという。
その間に道の駅の土産物を見にいくことにした。
地元の特産物が並ぶ中で目を引くものがあった。
どじょうすくい饅頭
ひょうきんな顔がハートの中に入っているという饅頭。
安来節のどじょうすくい踊りの滑稽な雰囲気が表現されている。
土産としてはよくある饅頭なのだが、形が滑稽で良いとついつい買ってしまった。
白餡と白餡にいちごジャム入りの饅頭は美味しかった。
どんどこ、どんどこ、どん・・・・。
太鼓の音と威勢の良い掛け声が聞こえてきた。
次の神楽が始まったようだった。
フロントガラスを叩く雨で視界が悪くなり、僕はスピードを落としてゆっくりと車を走らせた。
「津和野の町が見えるよ。」
高台を走る国道から下に目をやると、雨に霞んで津和野の市街地が見えた。
「SLやまぐち号が発車する頃だね」
「えっ! SL見えるの?」
「ここからは無理だね」
「なーんだ」
ミィは、残念そうな顔をした。
雨はすぐに小雨になり、そして止んだ。
やがて国道沿いにたくさんの車が路駐している場所があった。
「SL見えるかも」
僕は脇道に入って広い路肩に車を止めた。
「SLの写真撮ってんじゃないかな?」
僕らは、畑の脇の道を歩いて崖の上に出た。
下の方に線路が見えて、カメラを構えた人が大勢見える。
僕らもSLやまぐち号を待つことにした。
しばらくすると雨が降ってきた。
結構強く降り始める。
さっきの雨雲がこちらまで来たのだろう。
気づけば僕らの周りにカメラマンが何人か立っていた。
皆一眼レフカメラを構えている
スマホで待ってるのは僕らくらいだった。
しかし、時間になってもSLは来なかった。
「雨の影響があって前の駅で停車してるみたいですね。」
カメラマンの一人がポツリと言った。
「このくらいの雨なら動けそうだけどなぁ」
「いや、津和野はちょっと前まで酷い降りでしたよ」
「SLは、雨に弱いからなぁ」
どうやら車輪が雨で濡れた線路で車輪が空転して走れなくなっているらしい。
「行くか」
30分位雨の中で待っていたけど、運行を再開する気配がない。
僕らは、SLの写真を撮ることを諦めた。
津和野市を離れて山口県へ入った。
道の駅で休憩を挟んで
山口県庁まで来た。
しかし、日曜日ということで、門は固く閉ざされていた。
「明日また来ようか」
僕らは今日の宿のある湯田温泉へ向かった。
温泉と言っても、泊まるのはビジネスホテルだ。
安かったからね。
だがこのビジネスホテルは、温泉の大浴場付き。
安くて温泉に入れるのなら御の字!
僕は、すぐに予約したのだった。
山口県庁からは10分位だった。
県庁所在地でこんな近くに温泉街があるなんてちょっと驚いた。
ビジネスホテルうえのは、湯田温泉のはずれにあった。
とはいえ、温泉街の中心部まで徒歩圏内の立地は立地は良いところ。
今夜僕らは、温泉を楽しみ、そして布団でぐっすりと寝ることができた。
ホテルに荷物を置くと、僕らは街歩きに出た。
と、言っても夕飯を食べに出たということなのだが。
傷ついた白狐が傷を癒やしに来た事をきっかけに温泉を発見されたという湯田温泉。
その白狐を祀る熊野神社が町外れにあった。
権現山という小山の中腹にある神社へは、長い階段が一直線に伸びていた。
その参道の途中には、白狐稲荷神社があり、お参りをする。
更に上ったところに神社の本殿があった。
ここのおみくじは、白狐を祀る神社だけあってみくじを折って狐の顔になっていてかわいらしい。
祈りを込めた狐面みくじがたくさん結ばれているのも可愛らしかった。
そういえば、町中の郵便ポストも白狐だったなぁ。
白狐が可愛らしい神社でした。
ここのおみくじは、白狐を祀る神社だけあってみくじを折って狐の顔になっていてかわいらしい。
祈りを込めた狐面みくじがたくさん結ばれているのも可愛らしかった。
そういえば、町中の郵便ポストも白狐だったなぁ。
白狐が可愛らしい神社でした。
熊野神社の参道を降りてきたところに キッチンあさくら がある。
ホテルの周りは居酒屋っぽいところばかりだったので、僕らはここで夕飯を食べることにした。
店内に入ると、ちょっと良いレストランという雰囲気で、値段大丈夫かな?と、心配してしまう。
タンシチューや、ステーキなど洋食メニューが並ぶが、手頃な値段のものもあるのでちょっと安心。
ハンバーグステーキをいただくことにした。
ハンバーグではなくて、ハンバーグステーキ。
ちょっと違うなぁ。
シーンとした店内の雰囲気にドギマギしたが、食べ始めると美味しくて周りは気にならなくなる。
デミグラスソースのかかったハンバーグは、肉感がすごくて、焼き加減がちょうど良くて、とても美味しい。
濃厚なポタージュスープも美味しかった。
今までの食事よりも格上の、ディナーでした。
ごちそうさまでした。
もちろん今までの食事も美味しいものばかり食べてましたけどね。
2023/08/20(日)
天候:晴れ 最低 25.7℃/最高 32.0℃
島根県江津市〜山口県山口市
走行距離:211.7km
総走行距離:8417.2km
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