ぐるっと日本を旅してみた Vol.33
旅に出て1ヶ月ちょっと経った。
見慣れた土地に戻ってきた気がする。
仕事を辞めて国民健康保険に入ったのだが、毎年8月に保険証が切り替わるとは思わなかった。
家に新しい保険証が届いたとカミさんから連絡が来ていた。
今日一日観光を楽しんでから一旦新潟へ戻ることにする。
朝から青空が広がる良い天気。
仙台市内を晩翠通りから定禅寺通りへ入り勾当台公園へと歩いていく。
年末の光のページェントでは煌びやかに飾られる欅の木々も今は葉っぱを広げ、木陰を作ってくれている。
朝の通勤ラッシュの喧騒が町中を覆っていた。
勾当台公園から奥へ入った所に、7都道府県庁目の宮城県庁があった。
まもなく就業時間なのだろう多くの人が建物に吸い込まれていく。
宮城県庁と書かれた碑の前で写真を撮りたいのだが、あまりに人の出入りが多くてちょっと躊躇してしまう。
仕事へ向かう人たちの目からは、呑気に写真を撮ってる父娘はどう映っているんだろう?
人の流れが切れたところで急いで写真を撮る。
なんだか場違いな所にいるようで居心地が悪かった。
僕らは県庁舎へ入ることもなく、そそくさとその場を立ち去った。
山の山頂から見渡すと、目の前に干潟がありその先に太平洋が広がっていた。
日本一低い山「蒲生日和山」
標高3m。
大阪の天保山がかつて日本一低い山だったが、東日本大震災の津波で山体が削られ日本一低い山になった。
登山道も整備されている。
と、言っても1、2歩で登れてしまいそうな道を登るとすぐに山頂に辿り着く。
何度も上り下りを繰り返して遊んでいた。
山裾に看板が立っていて、
「クマが出たら慌てず、餌をあげてください」と書いてあった。
「えっ、餌あげていいの?」
北海道で散々みてきた看板と違うので吹き出してしまった。
別の看板には「登頂証明書」を発行すると書いてあった。
せっかくだから記念に貰いに行こう。と、仙台市高砂市民センターへ向かった。
しかし、住宅街の中にある高砂市民センターは、静まり返っていた。
今日は、月曜日なので窓口はお休みだった。
奥の方で何か人が集まっていたが、入口脇の窓口は閉まっていて登頂証明書はもらえそうになかった。
残念だけどしょうがない。
また、今度来てみようか。
とても高い城壁のような道路が続いている。
数年前には無かった道路だ。
海岸線に並行に造られたこの道路は防潮堤の役目があるのだろう。
周りののどかな風景とは異質の様相をしていた。
その道路を走り閖上へ行ってみる。
ここも津波の被害を受けた場所で、震災の翌年から何度か訪れていた。
最初のうちは建物も何もない更地だった。
それが年々周囲に家や工場などが建ち少しずつ賑わいを取り戻しつつある。
広々とした平地にポツンと小高くなったところがある。
ここも日和山という。
蒲生日和山より高い、標高6.3m。
山の上には神社があり、閖上地区を静かに見下ろしている。
以前、簡易的な社務所のようなところがあり人もいたのだが今は無くなったようだ。
今は名取震災メモリアル公園となっている。
日和山の正面には鎮魂の碑もあり震災の記憶を刻んでいた。
閖上港朝市が行われる市場へも行ってみたが平日は店も閉まっていて人気がなく閑散としていた。
休日には多くの店が開店し、魚介目当ての人々で賑わっている。
昼ごはんが食べられるかな?と思っていたのだが、当てが外れてしまった。
閖上の美味しい魚介類は次の機会に食べに来ることにしよう。
目の前で轟音を立てて飛行機が飛び立っていく。
仙台空港の展望デッキでのんびりとそんな光景を眺めていた。
閖上でお昼をどこで食べようか?と考えていたのだが、空港へ行けば何かあるだろう。
それにお土産も買いたかった。
そんな訳で仙台空港へ向かうことにした。
広い駐車場に車を停めると連絡通路を通ってターミナルビルへ入っていく。
電車の駅も併設されていてなんか都会っぽい。
と、言っても周りは田んぼで東北っぽい。
レストランで昼食を食べることにした。
いくつかあるレストランの中で、滑走路の見えるところを選んで入る。
ハーモニカの煮付け定食を頼んでみた。
メカジキの背鰭の付け根の部分をハーモニカと言い、気仙沼の郷土料理らしいです。
コラーゲンたっぷりで、ぷるぷるで美味しい!
気仙沼で食べればよかったかな?
食後は、ずんだ茶寮でずんだシェークをテイクアウト。
これも仙台の味だなぁと思う。
車の中で美味しくいただきました。
ごちそうさまでした。
仙台空港から南へ走った所に鳥の海という湖がある。
堆積した土砂で川の水が堰き止められてできた汽水湖だ。
渡り鳥や海どりの生息地となっている文字通り鳥の海だそうだ。
鳥の海のサッカー場にもポケふたがあるというのでミィは探しに行った。
その後、荒浜漁港公園に車を停めて鳥の海を眺めてみる。
河口に広がる湖には、堤防が伸びて船が停泊している。
遠くに鳥の群れが見えたが、種類まではわからなかった。
左手には海が見える場所だが、湖面は穏やかで静かだ。
釣りをしている人もいるが、今日はあまり釣れていないようだった。
防波堤にもたれて、そんな風景をぼうっとみている。
ただ、ただ、時間だけが過ぎていく。
福島県に入った。
北海道の砂州を見たくて野付半島へ行ったが、福島県にも砂州がある。
砂州によって隔てられた潟湖、それが松川浦だ。
松川浦大橋を渡ると細長い砂州を進む。
野付半島よりもさらに細い砂州で、道路の左側に太平洋、右側に松川浦の湖面が見える。
まっすぐ伸びた道路は気持ちいい。
普段、見ることのできない風景の中で車を走らせた。
太平洋岸から内陸部へ向かう。
山間部のくねくねした国道を進んでいき、途中休憩を挟んで福島市内へ入る。
福島県庁に到着したのは午後4時頃だった。
駐車場に車を入れて写真を撮りにいく。
スーツを着た人が話をしながら庁舎を出入りしている。
皆忙しそうだった。
福島市でも食べてみたいもの、見てみたいものがあったが今日はこの後の予定もある。
「また来ることがあるだろう」
隣県ならいくらでも機会があるだろうと、ちょっと気楽に考える。
「いつか」が、いつになるのか分からないが、
やり残したことは、その「いつか」に託すことにした。
僕らは夕暮れが迫る福島の街を後にした
標高1,240mの土湯峠を越えて、会津へ入ってくる。
以前、会津に住んでいたことがあるので何度も通った道だった。
懐かしいな、と思いながらハンドルを握った。
今日は、海抜0mにある標高3mの山から始まり、1240mの高さまで登ってきた。
随分標高差のある行程だったなぁ。
道の駅いなわしろ に着いた時にはもう陽が傾いていた。
ここまで約1ヶ月かけて東北から北海道を回ってきて今は、会津にいる。
今日は、一旦新潟へ帰ろうと思っている。
退職した時に国民健康保険に加入したのだが、健康保険が毎年切り替わることを知らなかった。
その切り替わるのが7月31日。
8月1日からは新しい保険証を使わなければならない。
健康保険なしで進んでも良いのだが、万が一何かあった時に困るので受け取りに戻ることにしたのだ。
当初の西日本先回りの予定を東日本先回りにしたのはこの理由もあった。
猪苗代町の道の駅猪苗代に着く頃には陽がすっかり傾いていた。
店舗も閉まっていたのでトイレに寄っただけで出発する。
会津に来たので夕飯は、喜多方ラーメンを食べることにした。
とはいえ、喜多方の夜は早い。
この時間に喜多方へ行っても店が開いているかどうか分からない。
僕らは会津若松へ行くことにした。
喜多方ラーメン来夢の会津若松店で懐かしいラーメンを食べることにする。
とろとろのチャーシューが乗って、太目の麺のラーメンは昔と変わらない味がした。
「美味しいね」と、ラーメンを啜る。
餃子も美味しかった。
ごちそうさまでした。
一時帰宅には、高速を使うことにした。
2時間かからずに家には帰れそうだ。
すっかり暗くなった道を新潟へ向けて車を走らせた。
2023/07/24(月)
天候:晴れ 最低 23.4℃/最高 31.4℃
宮城県仙台市〜福島県耶麻郡猪苗代町
〜新潟県新潟市
走行距離:210.4km(猪苗代町まで)
総走行距離:5363.8km
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