ぐるっと日本を旅してみた Vol.25
旅をしていて、ガイドブックやテレビで見た風景を追いかけるのは楽しいし「これか!」と感激する。
とはいえ、どこにも載って無い風景を見つけるとなんか得した気になる。
見知らぬ町の見知らぬ道を進んで突然現れる風景。
そんな風景をどこか求めて旅していた。
木々の無い草地で海に突き出た半島。
周囲は切り立った崖でその先は海。
そこに見えるのは草を食べたり、こちらを見ている馬達。
車のすぐ脇でこちらを機にする様子もなくのんびりと歩いている。
その後ろには灯台が見える。
それが学生の頃ツーリングで尻屋崎を訪れた時のイメージだ。
その風景に感動したのを覚えている。
だから今回も立ち寄ってみたかった。
尻屋崎へ来て感じたのは「思ってたのとは違う」だった。
自由気ままに歩き回っていた馬達は、柵に囲われて人間達とは隔てられていた。
時々観光用なのか灯台の近くの区画へ集められることもあるようで、柵の周りに観光客が集まっている。
近年、馬との事故が多くなったための措置らしい。
馬と人間が上手に付き合えなくなったってことか。
残念だけど仕方がない。
柵に隔たれているとはいえ、
寒立馬と灯台と海を見ることができるこの風景はキレイだなと感じた。
尻屋埼灯台へも行ってみる。
岬は「尻屋崎」
灯台は「尻屋埼灯台」
実は字が違うという事に気づいた。
なんで?
この灯台は中へ入ることができる。
灯台の螺旋階段を登りテラス部分へ出ると足元には馬達。
その先に太平洋が広がっている。
日本全国の中へ入って「のぼれる灯台」を巡るスタンプラリーをやっていた。
青森から沖縄まで「のぼれる灯台」は全部で16基。
このラリーも面白そうだな、と思ったが沖縄の離島もあるので難しそうだった。
いつかやってみたい気もする。
東通村の海岸線には鳥取にも負けない砂丘がある。
だけど観光地化されていない。
それどころか立ち入り禁止だ。
それは、自衛隊の演習地だから。
広大な砂丘の風景を見てみたいけど、仕方がない。
そんなことを思いながら、小さな漁村をいくつか通り過ぎていく。
田舎の素朴な風景が流れすぎていく。
そんな中車を進めていくと突然目を引くものが現れる。
八戸で見たガンダムや紋別のカニの爪くらい具体的なものなら印象も違うのだが。
目の前には流木や漁具のブイが整然と並んでいる。
いや、飾られているのか?
反対側に目をやると、ブイが棒に刺していくつも立っている。
「なんだこれ?」
集落の中だが、周囲には人影がない。
ただ僕らだけ。
目の前には、ブイが大量に飾られている。
後で調べたら82才のおじいさんが10年以上かけて作っているアートらしい。
旅の途中で見つけるこんな風景がたまらなく楽しい。
ガイドブックには載っていない風景。
また一つ、ここだけの風景を見つけた
警察音楽隊が軽快な音楽を演奏する。
周囲には大勢の人が手拍子をしながら聞き入っている。
子供達が駆け回る。
とにかく賑やかだった。
三沢航空科学館は、巨大な倉庫のような建物をメインにその周囲には様々な機体が展示してあった。
その奥には自衛隊と共用利用の三沢空港の滑走路が見える。
そのメインの建物のエントランスで演奏が行われていた。
軽食や飲み物の店も出ているようだった。
人混みを避けるように科学館の中へ入ると巨大な空間に巨大な飛行機が並んでいる。
その脇には子供達が遊べるコーナーがあったり、2階へ上がると宇宙に関するコーナーがある。
1階へ戻り、奥へ進むとホンダジェットのコーナーがあり、実機が展示してある。
航空力学的にこの形状がどうだとか。
コクピットのパネルがタッチパネルだとか。
開発までの経緯はこうだとか。
様々な説明が書いてあるが、
そんなことより
「カッコイイ!」
この一言に尽きる。
三沢市内を走っていてショッピングモールの駐車場へ入り損ねて、次の角を曲がって戻ろうとハンドルを切ろうとした時だった。
道の先に大きな門と英語で書かれた看板が見えた。
米軍の三沢基地だった。
ここは自衛隊だけではなく、米軍も常駐する街だった。
ショッピングモールに車を停めるのをやめてコインパーキングを探す。
車を停めるとお昼を食べる事にした。
三沢基地から続く大通りをブラブラ歩くとその店はあった。
「バラ焼き発祥の店 赤のれん」
十和田市のご当地グルメかと思っていたら、三沢市が発祥だった。
ちょっと昭和な店に入るとテーブルに案内された。
バラ焼定食を頼むとご飯と味噌汁に副菜が一つ運ばれてきた。
そしてバラ焼き。
フライパンいっぱいの牛のバラ肉と玉ねぎが目を引く。
すごいボリューム!
コンロに火をつけてフライパンを置くと店員さんは忙しそうに厨房へ戻っていく。
焼けばいいだけだろうが、どうするのが正解なの?
周囲を見渡すとほとんどの人がバラ焼きを食べていた。
見様見真似でといっても焼けたらご飯と一緒に口に放り込む。
甘じょっぱいタレの味が口に広がる。
ご飯がすすむ。
すごい量だなと思ったけど、黙々と食べてあっという間に食べ終わってしまう。
美味しかった。
ごちそうさまでした。
「鮫だ」
「鮫だね」
駅の駐車場の一角に鮫のオブジェがあった。
大きな口を開けた鮫は、ちょっとユーモラスでもあった。
駅の名前は「鮫駅」
鮫駅の鮫。
ありがちなシチュエーションだったけど。
なんか面白かった。
ミャー、ミャー、ミャー、ミャー・・・
うみねこが鳴いている。
それも数百羽の。
蕪島はうみねこの島だった。
三沢から1時間弱。
相変わらず存在感のあるガンダムを見て、
北海道行きフェリーの乗り場を過ぎて、
蕪島まで来た。
そこだけ盛り上がっているような島の上に神社があった。
蕪島神社だ。
神社の境内に上がる階段の手前に傘置き場がある。
何本かのビニル傘が置いてあるのだが、これは糞よけの傘だった。
うみねこの聖地に足を踏み入れているのだ。
辺りは糞で真っ白。
上空はもちろん、木の上、鳥居の上、灯籠の上、足元にも、ありとあらゆる場所にうみねこがいる。
上空からの攻撃は傘で防ぎながら階段を登り参拝する。
境内にもうみねこが歩き回っている。
参拝を終えて戻るのだが、うみねこがいるのはこの島の周囲だけ。
結界でもあるんじゃないかと思うくらい、駐車場まで来るとその姿はなくなる。
不思議な島でした。
葦毛崎は、大平洋を見渡せる高台になっていて展望台があった。
第2次世界大戦末期には旧日本軍の軍事施設として利用されていたらしく、展望台は、ゴツゴツした岩場の上にある頑丈そうな作りとなっていた。
ここから眺める大平洋も雄大で、きっと朝日がキレイに見えるんだろうなぁ。
そんな事を思いながら、僕らは潮風にあたってノンビリと海を眺めた。
種差海岸は天然芝生の海岸が広がる。
浜辺が緑という不思議なところ。
インフォメーションセンターでチェックインを済まし、キャンプ場へ移動する。
キャンプ場の駐車場からは徒歩になるのだが、途中民家があってその軒先をお邪魔するようにテントサイトへ入るのだ。
種差海岸から続く芝生が窪地のようなところに広がっている。
そこがテントサイトだった。
できるだけ緩やかなところを選びテントをたてる。
目の前が海で、のんびりできる所だった。
テントサイトの脇の林の向こう側をJR八戸線が走っていて、時折聞こえる列車の音が気になる。
窪地の底にはキャンプファイヤーでもやれそうな、コンクリートで仕切られた場所がある。
けれどここは天然芝のキャンプ場。
直火は禁止。
花火も禁止だ。
夜になって子供連れのお父さんが花火を始めた。
ここ禁止だから。
注意されて、すごすご戻っていったけど、翌朝花火の残骸が残っていて残念だった。
暗くなってから、
どーん、パラパラパラ・・・。
林の向こう側が時折明るくなった。
「花火だ!」
こちらの花火はいくら上がっても問題ない。
ミィと駐車場の外の踏切の近くまで花火を見に行ってみた。
高く上がる花火は見えるのだが、スターマインとか低い花火は良く見えなかった。
「見てくる!」
と言ってミィはさらに踏切を渡り、道路の向こうまで行ってしまった。
僕はテントへ戻って、花火の音を聞きながらビールを飲んでる。
「キレイだったよ!」
ミィが戻って来てスマホの写真を見せてくれた。
夏が始まった。
そんな気がした。
2023/07/16(日)
天候:晴れ 最低 20.9℃/最高 28.6℃
青森県むつ市〜青森県八戸市
走行距離:179.5km
総走行距離:4187.6km
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