ぐるっと日本を旅してみた Vol.8
麺類、特にラーメンが好きで毎日でも食べていられる気がする。
だから敢えて旅先での食事はラーメンを避けるようにしていた。
食べ始めたら毎日食べてしまうから。
食事はご当地グルメを探した。
それも B級のご当地グルメ。
良く知れ渡ったご当地グルメは、食べようと思えば食べることができる。
でも B級グルメは普段食べることができないから。
とは言え、ご当地ラーメンは食べてみたい。
たまに食べるラーメンは、また格別美味しいから困る。
結局、ラーメンも食べるのです。
朝食を食べ、テントを撤収すると、せっかくなので芦野公園へ寄ってみた。
江戸時代に作られた灌漑用の溜め池 芦野湖を中心に公園が作られています。
オートキャンプ場もその中の一施設。
雨が時よりパラつきますが、公園を散策してみます。
キャンプ場とは別の方向にも吊り橋が架かっているので渡ってみる。
橋のたもとには、「津軽三味線発祥の地」のレリーフや「太宰治文学碑」等があった。
最後に太宰治先生に挨拶して行きます。
フォン、フォン、フォン、フォン・・・。
突然警告音が鳴り始める。
「来た!」
車へ引き上げていた足が止まり、身体が自然と反転猛ダッシュで展望台へ駆け上がっていた。
ミィも後ろから付いてくる。
フォン、フォン、フォン、フォン・・・。
ピー!
遠くから汽笛が聞こえてきた。
奥津軽いまべつ駅は小高い山に囲まれた平地に建っていた。
屋根付きの駐車場に車を停めると駅舎へ向かう通路を歩く。
高架を走る新幹線の更に上にある駅舎へ登るためのエレベーターがある。
その横には階段が 115段あるようだ。
よく見ると駅員が頭を下げている絵と一緒に注意書きが書いてあった。
「1段間違えていました。 再度数えたら 116段でした。」と。
ちょっと笑ってしまった。
駅構内に入ると新幹線駅にしては小さな改札で、列車本数、乗降者数が少ないことをうかがわせる。
駅の通路から長編成の貨物列車が北海道へ向けて走っているのが見えた。
この先は線路が3本あり、標準軌の新幹線と、それより狭い狭軌の在来線が走れるようになっているのだ。
複雑な線路の配線を眺めながら「よく作ったなぁ」と感心してしまう。
奥津軽いまべつ駅から10分ほどの所に「青函トンネル入口広場」と書かれた標識が立っていた。
トンネルを見る事が出来るようだったので行ってみることにする。
展望台があり、その正面に新幹線の線路が見渡せるようになっていて、その先にポッカリと穴を開けた青函トンネルが見える。
写真を撮ったり、風景を眺めてしばらく新幹線が通らないかと待ってみたがこの時間は、新幹線は来ないようだった。
車へ戻ろうと階段を降りて駐車場へ向けて歩き出した時、フォンフォンフォン・・・と、警告音が鳴り出した。
「来た!」
反射的に反転して駆け出していた。
急いで展望台に登ると遠くから警笛が聞こえてくる。
どうやら新幹線ではないようだ。
先ほど、奥津軽いまべつ駅で見た貨物列車が、青森方面から走ってきて、目の前を通り過ぎると、吸い込まれるようにその長い身体をトンネルの中へと走り込んでいった。
ガタン、ガタン、ガタン。
長い長い身体は、やがて全てが吸い込まれていった。
「この先が北海道か」いよいよ近いてきたなと思った。
本州の最果ての地は、小さな港だった。
この先には道は無い。
その行き止まりの道を少し戻ったところから脇へ逸れる歩道がある。
車が通ることができない狭い歩道を住宅の軒を掠めるように歩くと急斜面を登っていく階段が現れる。
それが国道339号線、階段国道だった。
なぜこれが国道なのか?
理由はよく分からないが、日本で唯一自転車、バイクを含む車両通行不可の国道だそうだ。
観光客が登ったり降りたりしていた。
僕らも早速登ってみる。
登り切ると車両が通れる国道に出た。
そこからさらに上り坂の歩道が続き竜飛岬灯台へと続いている。
国道の方へ逸れていくと眺めの良い場所にでた。
そこには石碑が立っている。「津軽海峡冬景色」の歌碑だった。
そこに付いているボタンを押すと大きな音で「津軽海峡冬景色」が流れた。
「上野発の夜行列車降りた時から〜」
石川さゆりの声が辺りに響き渡る。
「〜津軽海峡・ふゆげしき」
冬は風が強くて寒いんだろうなぁ。
綺麗なのかもしれないが、冬景色を見に来ようとは思わなかった。
今の季節がちょうど良い。
展示室に一歩入るとそこはまさにトンネルの中だった。
湾曲した天井、むき出しの鉄骨、大きな支柱。
青函トンネルの構造や工事の様子を模した展示だった。
鉄道マニアらしき人達が何人か写真を撮っている。
青函トンネル記念艦は、竜飛岬の小高い所にあった。
世界初の海底駅「竜飛海底駅」のあった場所。
この足元に北海道へ続くトンネルが通っている。
轟音を立てて貨物列車が走り、大勢の人を乗せた新幹線が走り抜けていく。
いつか新幹線で北海道へ行ってみたいな。と思う。
いつか。
十三湖の辺りにお食事処 和歌山はあった。
TVでもよく紹介されているしじみラーメンの店だ。
十三湖はしじみが取れることで有名でその特産品を使ったしじみラーメンの発祥の店らしい。
結局、ラーメン。
でも、食べてみたかった。
店内に入るとずらっと並んだしじみが売られている。
大きさによって値段が違うようで小柄なものから大ぶりなものまで様々なしじみが並んでいる。
昼を過ぎていたのでガランとした店内に座る。
有名人の色紙が壁一面に飾られていた。
せっかくだからと「特製しじみラーメン(大貝)」を頼んでみた。
まもなく運ばれてきたラーメンには大粒のしじみが載っていた。
自分がイメージしているしじみとは全然別物のような気がした。
貝殻の中にプリプリした大きな身が詰まっている。
しじみといえば味噌汁くらいしか知らなかったが、出汁の効いたスープは美味しかった。
ごちそうさまでした。
弘前で「ねぷた」を見た。
後に青森で「ねぶた」を見た。
どちらも大きさや色の艶やかさが圧巻だった。
しかし、五所川原の「立佞武多(たちねぷた)」は別物だった。
巨大なのだ、巨大で全容が一目では分からない。
立佞武多の館の展示室へ入るとその大きさに圧倒される。
高さ約24m!
ちょっとしたモビルスーツ位の大きさだ。
エレベーターで3階へ上がり上から見下ろすとその大きさが更に実感できる。
こんな巨大な物が祭りの時には町中を練り歩くのだから驚く。
昔は更に巨大だったらしいが、電線など障害物が増えたので小さくなったらしい。
・・・これでも。
3階からは螺旋状の通路を通り立佞武多の全容を見ながら降りてくる。
通路には製作工程や歴史に関する展示もあり1階に降りて来るまでに立佞武多に関して学べるようになっていた。
昔の立佞武多は、どんだけ大きかったんだろう?
家の向こう側からヌーっと現れてこちらに向かってくる立佞武多。
祭りの様子を想像してみたが、アニメの世界にしか思えなかった。
青森市に着いた頃にはもう陽が傾いていた。
1週間以上キャンプ生活が続いたので青森市でホテルに泊まることにした。
荷物を置くと久しぶりの「街」に繰り出した。
青森県庁が近くにあるのでまずは写真を撮りにいく。
4都道府県庁目 青森県庁は退庁時間も過ぎているため灯りが少なくなっていた。
建物をぐるりと回ったが、「青森県庁」と書かれた看板が見つからなかったので県庁に掲げられたイベントの「あおもり」という文字を写真に収めた。
夕飯は名物を食べようと調べていたミィが
「貝焼き味噌が名物みたい」言う。
ネットでいくつか店をピックアップしたが休みの店があったりしてなかなか決まらない。
ようやく見つけた店「六兵衛」は商店街の薄暗い地下へと降りていくところだった。
場末の飲み屋のような入口に躊躇したが、食事を終えて階段を登ってきた女性グループが楽しそうに笑いながら去っていったのをみて入ることにした。
「いらっしゃいませ」店員が振り向いて「マスター」というと厨房のマスターがカウンター席を指差す。
「こちらへどうぞ」と、そのカウンター席に案内された。
和風の居酒屋だけど、「マスター」なんだ。と思った。
10人も入ればいっぱいになりそうな店内だった。
壁に貼られたメニューを見ながらお目当ての貝焼き味噌と目についた料理と生ビールを頼む。
テーブル席の客が帰ると、まもなく二人連れの客が来た。
「マスター」と店員が声をかけるとチラッと顔を上げたマスターが首を振る。
「ごめんなさいね。予約も入っていていっぱいなのよ」店員が申し訳なさそうに答える。
「しょうがないな」と二人は帰っていった。
しばらくして別の客が入ってくる。
「マスター」と声をかけるとマスターがテーブル席を指差す。
このマスターの采配が面白くて、客が来るとついマスターを見てしまう。
ホタテ貝の殻に卵でとじた味噌味の貝焼き味噌、刺身、ホヤ、細筍・・・。
何を食べても美味しい。
ホヤを食べていたらマスターが「これも」と炙ったホヤを出してくれた。
ほんのり海の香りがするホヤはここでなくちゃ食べられないんだろうな。
ごちそうさまでした。
2023/6/29(木)
天候:曇りのち雨 最低 21.7℃/最高 26.0℃
青森県五所川原市〜青森県青森市
走行距離:180.5km
総走行距離:1281.1km
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