ぐるっと日本を旅してみた Vol.6
学生時代の友人達と面と向かって会うことはほとんど無くなっていた。
ただ、SNSでの繋がりが残っている。
Facebook、X を使って近況が流れてくる。
「いいね」を押したり、返してもらったりしているだけの付き合い。
でもこんな旅をしていると「近くに来るなら会えるかな?」と言ってもらえる。
時間が合えば会ってみようか。
こんなマイペースで気ままな旅にお付き合いいただきありがとうございます。
友人と出会った事はまた SNSで報告することになる。
お堂の四方の壁にビッシリと木彫りの地蔵菩薩が安置されている。
壁だけではなく天井にまでビッシリと。
神聖な場所というより、不気味さすら感じてしまう。
真山の万体仏は、なまはげオートキャンプ場から5分ほど進んだ道端にある小さなお堂の中にあった。
一万数千体の地蔵菩薩は、幼くして命を失った子供達を弔うために彫られたものだという。
静かに手を合わせるが四方八方から見られているような気になってしまう。
不思議な場所だった。
秋田といえば、ハタハタ、いぶりがっこ、きりたんぽ、そして なまはげ。
男鹿真山伝承館なまはげ館には、あらゆるなまはげが集められ、展示されていた。
男鹿半島の地域によってこれほど表情が違うものかと驚き、
なまはげと同様の行事が日本全国にあることにも驚いた。
新潟にもあるらしい。
館内でなまはげの映像を見たり、なまはげの格好をしてみたりして楽しんだ。
特にありとあらゆるなまはげを集めた なまはげ勢揃い が圧巻だった。
丸顔、長い顔、赤い顔、黒い顔、様々な表情でこちらを見てくる。
これが自分の家に突然現れたら、そりゃ子供は泣いてしまうな。
「悪い子はいねがぁ〜」低い声がどこかから聞こえてきそうだった。
なまはげ特別神事が行われる真山神社にも行ってみた。
境内になまはげの気配は無かったが、石段を登り社殿の前に行くと茅の輪がかけてあった。
作法に従い右に左にと八の字を書くようにくぐってみる。
厄払いになるそうだ。
教科書にも載っていた八郎潟干拓地へ行ってみた。
広大な八郎潟を干拓して農地にしたところで、見通しの良いどこまでも田んぼが続くような風景かな?と思っていた。
実際に来てみると、並木があったり所々木が植えてあるので意外と見通しはきかなかった。
それでも道路の作り等からその広さは想像できた。
そんな干拓地の真ん中に山がある。
もちろん人工的に盛られた山なのだろうが、どんな山だろうかと気になって行ってみた。
それが大潟富士、日本一低い富士山である。
1995年に完成した築山で、標高は 3.77m 富士山の 1/1000 となっている。
道端にある三角錐状の山の山頂に登ってみると干拓地の風景を見る事ができるが、決して眺めの良い風景というわけではない。
なにしろ山頂の海抜が 0m なのだから。
なんともこじんまりとした富士山だった。
「久しぶり」
学生時代以来会っていなかった友人と会うことになった。
SNS上で見かけた近況そのままの彼がいた。
待ち合わせの場所、秋田犬の里は犬好きのミィも行きたかった場所なのでちょうど良かった。
我々が近況報告なんかをしている間に目を輝かせて展示を見ている。
残念ながら COVID-19 のせいか秋田犬はガラスの向こう側にいて直接戯れることはできなかった。
それでもフサフサしてちょっと丸っこい秋田犬がトレーナーと遊んでいるのを見ているだけでほんわかしてくる。
屋上に出ると映画の手書き看板が展示してあった。
「近くにおなり座っていう古い映画館があってね」と、友人が説明してくれる。
「歩いてすぐだから行ってみる?」
秋田犬の里から歩いて数分のところにその映画館「オナリ座」はあった。
1952年会館し一度火災で焼失しているが、再建し今なお上映を続けている映画館だ。
新潟県上越市に「高田世界館」という同じような古い映画館があるが、大館市にもこのような古い映画館があるのは知らなかった。
薄暗い館内に入ると受付とちょっとした物販コーナーがある。
「今、上映中だからお静かにお願いします。」
受付の人にそう言われた、防音がしっかりしていないので音が漏れるのだ。
観覧中の人に迷惑をかけないように、声をひそめて館内を見学すると外に出た。
オナリ座の前で記念撮影をすると秋田犬の里にもどる。
ここには何故か東急の青ガエルこと 5000系電車が保存されている。
アンバランスさが可笑しくて写真を撮って回った。
「また、いつか、今度はみんなで集まりたいね」
そんないつかに想いを馳せて友人と別れた。
大館市から十和田に向かって進むとところどころ線路跡が見える。
廃線になった小坂鉄道の跡だ。
その線路の跡をたどっていった先にあるのが「小坂鉄道レールパーク」だ。
旧小坂鉄道の線路、駅舎、車庫等をそのまま使った小さな鉄道博物館。
キレイに整備された車両を見学することができます。
そこには、24系寝台車が置いてありそこに泊まることもできる!
残念ながら日程が合わず泊まることはできなかった。
いつか泊まって見たい宿です。
「以前、ご利用はありましたか?」
「30年くらい前に」
「あぁ、野営場の頃ですね」
受付のスタッフが笑いしながら答える。
大学1年生の夏に東北中の学生が集まってこの地でキャンプを行うイベントがあった。
十和田湖畔の宇樽部キャンプ場はそんな思い出の場所だった。
秋田県から青森県へ入る頃は雨模様となっていて心配したがキャンプ場に着いた時には止んでいた。
「雨が止んで良かったですね」
十和田湖を見渡せる場所にテントを建てようと準備をしていると先ほどのスタッフが声をかけてきた。
今のうちにテントを建ててしまおう。
雲行きがちょっと怪しかった。
30年前のキャンプは周囲を観光したり、イベントを行ったりして1週間ほど滞在していた。
その間に大雨に降られた思い出がある。
当時のテントは三角テントで周囲に溝を掘って雨水を避ける必要があった。
大変だったんだよと、記憶の中の自分が言う。
雲行きが怪しくなったのは夕飯を食べ終わる頃だった。
降り始めた雨が強くなり、タープから落ちる水が大きな水溜まりを作り始めた。
このままでは確実にテントへ流れ込んでしまう。
水溜まりの水が捌けるように溝を掘る必要があり、木の棒で引っ掻いていたが間に合わず車から携帯用シャベルを取り出して掘り始める。
これじゃ、30年前と一緒だな。
なんとかテントへの流れを湖へ向けて、水没を免れる事ができた。
歴史は繰り返す?と感じた夜だった。
2023/6/27(火)
天候:曇りのち晴 最低 18.0℃/最高 30.7℃
秋田県男鹿市〜青森県十和田市
走行距離:182.6km
総走行距離:968.9km
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