ぐるっと日本を旅してみた Vol.15
釧路、根室までは来たことがあった。
しかしこの先は全く来たことが無い未知の土地。
そして行ってみたかった土地。
ワクワクした気分で車を進めて行こう。
ゴォー
明け方からものすごい音がキャンプ場に響いていた。
休止中の温泉の方から聞こえている。
ゴォー
まるでジェットエンジンでもあるかのような音だ。
その音はいつまで経っても鳴り止まなかった。
夜通し降り続いた雨は、朝になっても止まなかった。
おかげで撤収が大変だった。
びしょびしょのタープとテントを炊事場に持ち込んでどうにか畳んでから車に詰め込んだがどこかで広げて乾かしたかったが、太陽はしばらく拝めそうになかった。
ゴォーという音は相変わらず続いている。
キャンプ場の管理人に聞いてみると、温泉の圧力を抜く音だという。
車でキャンプ場から出ると川沿いのところで蒸気が噴き上げていた。
湯煙なんて感じではない。吹き出しているのだ。
あれか。と道路脇に車を置いて近づこうとしたら、役場の車がやってきて入るなという。
そのため道路沿いから音のする方を見てみる。
横に伸びた配管からものすごい勢いで蒸気が噴き出ていた。
朝から響いていたのはこの音だったのだ。
こうやって時々蒸気を抜かないと温泉の施設が壊れてしまうらしい。
しばらく見ていると音が小さくなってきた。
やがて蒸気の吹き出しは弱くなってきて止まった。
役場の車から降りた人がニコニコしながらこちらへやってきた。
「すみませんね。近づくと死んでしまうことがあるので。
蒸気と一緒に硫化水素が出ていて河原に溜まっているんですよ。」
そういうことだったのか。危なかった。
特に観光案内とかはなかったが、これほど豪快なものを目の前で見ることができて良かったな。と思った。
そして、生きてて良かった・・・とも。
Google Map で羅臼に何があるのかと拡大して見ていると「日本最北東突端地」という文字を見つけた。
日本の東西南北の端に行こうと思っていたが最北東端というのも気になったので行ってみることにした。
羅臼温泉野営場から一旦羅臼の町へ戻りそこから知床半島を北上していく。
天気は相変わらず悪く、雨が降っている。 海も荒れているようだ。
その海の向こうに国後島が見える。
すぐ着くだろうと思っていたが思いの外時間がかかり 30分程でその場に着いた。
相泊橋という橋がありその手前には赤い大きな文字で「キケン 通行止」と書いてある。
そこが突端だった。
その先には道は無い。この先、知床岬に行くには船で行くか、徒歩で行くしかない。
最北東端という中途半端な位置付けだからか特に観光地化もしていなければ、観光客もいない。
僕らのような物好きが訪れる地なのかもしれない。
羅臼へ戻る途中1台の車とすれ違った。
長岡ナンバーだった。
「あの車も最北東端へ行くのかな? 長岡ナンバーだったよね。 新潟から来たんだね。」
物好きが訪れる場所に新潟県から2台も車が来ているなんて、とミィと盛り上がって笑った。
天気はまだまだ晴れそうになかった。
知床半島を最北東端へ向かって走っているとオシャレな喫茶店のような建物を見つけた。
ガラス張りの建物であまり人の気配がしなかったのだが、羅臼町へ戻る途中に寄ってみることにする。
「知床世界遺産ルサ フィールドハウス」というその建物は、喫茶店ではなくビジターセンターのようなところだった。
中には、知床半島の自然や、知床岬へ実際に行った記録、映像を見ることができる。
また、2階は前面ガラス張りになっていて目の前に国後島を見る事ができる。
圧巻だったのは、知床岬へのルートの踏破を紹介している所。
最北東突端地、相泊から徒歩で進んだ記録が紹介されている。
その行程はすさまじい。
道なき道を進み、
がけを登り、
がけを降り、
時には海水に浸かりながら
進んで行く。
自分が進んだ痕跡は一切残す事を許されない世界。
ポケットトイレを販売していて、それを携行し持ち帰れという徹底ぶり。
世界遺産を維持すると言う事は、こういうことか。
ものすごく感心してしまったと共に、人が安易に踏み込んではいけない領域だなと感じる事ができる。
知床半島は単なる観光地では無いと言う事を実感できる施設でした。
駐車場に戻ろうとした時、入口に貼り紙があるのに気付いた。
「国設羅臼温泉野営場ご利用の皆さまへ」
約1ヶ月前に夕べ泊まったキャンプ場でヒグマが目撃されたとの注意喚起だった。
動物達の領域へ足を踏み入れていることをヒシヒシと感じた。
羅臼へ戻って知床羅臼ビジターセンターへ寄ってみた。
大きな建物で観光コースにもなっているようだ。
ひっきりなしに観光客が出入りしている。
主に知床半島の自然、動植物の紹介がメインでここで知床を知って、観光することができる。
ビジターセンターから遊歩道も伸びていて近くに間欠泉もあるようだった。
行ってみようかと思ったのだが、昨夜からの雨がまだ降り続いていてその中を歩いて行く気にはならなかった。
ここから先は知床半島を横断して行く。
天気が悪いのが気がかりだった。
羅臼から知床半島の反対側、斜里町へ抜ける為に海岸線をぐるっと回って行くことはできない。
唯一知床横断道路を通って行くしかない。
知床半島は地図で見るとそれほど大きくは見えないが、中央にある羅臼岳は標高 1661m。
横断道路はその裾野を走り、最高地点の知床峠で標高 740mと結構山の中を走って行くのだ。
朝から降り続いた雨はまだ止みそうになかった。
知床峠はその雨を降らせている雲の中で周囲は何も見えなかった。
車を降りてみたが、雨と強い風が吹いていて写真だけ撮ると早々に立ち去ることにした。
晴れていれば羅臼岳や周囲の山々が綺麗に見えるんだろうな。
残念だけど、仕方がない。
知床峠を下って斜里町に入ると雨は止み太陽が顔を出した。
峠一つ越えるだけでこんなにも天候が変わるものなんだ。
昼ごはんを食べようと道の駅に寄ることにする。
道の駅 ウトロ・シリエトクは大勢の観光客で賑わっていた。
レストランの券売機で食券を買いテーブルにつく。
選んだのは、エゾシカ肉のソースカツ丼、エゾシカ肉カレー。
見かけるたびに”可愛い!”と、写真を撮っていたのに、ここで口にするとは。
特に臭みがあることもなく美味しいカツとカレーでした。
北海道らしい食べ物ですね。
ごちそうさまでした。
オシンコシンの滝は、海沿いを走る国道のすぐ脇にあった。
遊歩道を歩くとすぐに川の流れのような滝が見える。
なんか思ったほどではなかったなぁ、と思いながらさらに進むとその奥に滝の本体が現れる。
高さ 約80m、幅 約30mの滝は近くまで行けるので結構迫力がある。
遊歩道を駐車場まで戻り、土産物屋をのぞいてみた。
北海道らしい土産物がたくさん置いてある。
絵葉書を買って家に送ろうかな。
小高い場所にT字路があり大勢人が集まっている。
そのT字路の縦棒が下り坂となってどこまでも続いていた。
「天に続く道」と名付けられたその道は林の間を下っていくとどこまでもまっすぐ続き、その先で空に向かって伸びるように見えた。
ここが「スタート地点」
「天に続く道 スタート地点」と書かれた看板と一緒にその風景を写真に収めようと入れ替わり、立ち替わり観光客がポーズをとって写真を撮っている。
時折、車やバスが現れて「天に続く道」に入っていくと「あぁぁぁ。」と残念な声が上がり、その車輌が見えなくなるのを待つことになる。
車輌が見えなくなると再び撮影大会が始まる。
やがて満足した人はそこから立ち去り、次の人がやってくる。
そんな繰り返しがここでは続いていた。
何気ない風景だが、本州では見ることができない風景でもあるのだ。
「邪魔かな?」と、思いながらその「スタート地点」から「天に続く道」を車で進み始める。
すぐに展望台がありそこからも見ることができるが、道路脇で角度がつくのでスタート地点とはちょっと風景が違った。
さらにどこまでもまっすぐに進んでいく。
途中合流してくる道もあるが、どこまでもまっすぐ進む。
30分ほど進んで坂を上がった畑の真ん中でその道は終点となりカーブを描いて先に行っていた。
ここが終点。
スタート地点と違い特に観光地化もしていない。
そして、振り返ってみる。
天から見るとこんな感じなのか。
ただの道が真っ直ぐ伸びているだけ。
「スタート地点」とは違った風景がそこにはあった。
「まぁ、こんな物か。」
妙に納得した感じだった。
天に続く道のゴール
網走市のてんとランドオートキャンプ場でキャンプをした。
食材を市内で調達しキャンプ場へ向かった、
市街地から小山を登ったところがキャンプ場だった。
受付をし、中へ入ると楕円状の芝生のサイトがあり、その周回道路に車が止まっていた。
車の多くはキャンピングカーでテントサイトにはほとんどテントが立っていない。
程よいところを見つけテントを立てて、管理棟のシャワーで汗を流すと、夕飯を食べる。
ここまでのルーティーンをこなして夜を過ごす。
別に混んでいるわけでも無いのだが、キャンピングカー用のサイトがあるのにテントサイトにキャンピングカーとか車中泊の車がいるのはなんか納得がいかないなぁ。と感じてしまう。
ガラ空きだから別に気にするところでも無いのだけど。
なんかなぁ。
そんな事を思いながら過ごす網走の夜でした。
2023/07/06(木)
天候:雨のち晴れ 最低 14.5℃/最高 26.7℃
北海道目梨郡羅臼町〜北海道網走市
走行距離:174.0km
総走行距離:2622.4km
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