沖縄での時間は、あっという間に過ぎてしまった。
もっと楽しみたかったし、離島にも行ってみたかったが日程的にそれは無理だった。
いつかのんびりと離島巡りの旅をしてみたいものだ。
最終日は、定番の観光をして行こう。
前日に買ったポーク玉子などで、沖縄らしい(?)朝食を食べた後、宿をチェックアウトすると、大きな荷物を持ち、モノレールで那覇空港へ向かった。
沖縄最終日、まずは荷物をコインロッカーに預ける事にした。
身軽になった僕らは、空港から折り返しのモノレールに乗ると首里駅へ向かう。
そう、首里城へ向かっていた。
最終日は、観光地を回る事にしたのだ。
首里城への案内看板に従い駅から坂道を登って行くと、徐々に景色が開けてくる。
石垣の上の公園の様なところへ着くと那覇の市街地を見渡す事ができた。
更に石垣沿いに歩いていくと首里城への入口、守礼門があった。
歓会門、瑞泉門、漏刻門、広福門と通って広い広場と大きな門の前に出る。
古い柱を展示してある建屋があり、休憩所もあった。
日差しが強く、僕らは休憩所に逃げ込んでとりあえず飲み物を飲む事にした。
首里城は、「城」とはいえ本土のそれとは雰囲気が違う。
どちらかと言えば中華圏の城に近い作りの建物だ。
以前この近くまでは来た事がある。
その時は、いつかまた来た時に入れれば良いな、くらいに考えてライトアップされた首里城を眺めて満足していたのだ。
しかし、2019年10月31日。
首里城で火災が発生し、その大半が消失してしまう。
こんな事ならあの時見ておけば、と悔やんだものだった。
そんな想いもあっての首里城再訪となった。
首里城の入場口から中へ入ると本来であれば立派な宮殿を見る事ができたのだろうが、今は大きな倉庫のような建物があった。
外側をぐるっと回るとそれが首里城を修復している現場だというのがわかる。
その中を見学する事がでくるのだが、特別な区域であるため簡単なチェックと注意を受ける。
階段を登り、その建物の上層にある回廊に出ると、修復に関する説明の展示がありその苦労が窺われる。
中に入ると回廊から下の作業現場を見学する事ができる。
回廊自体も倉庫のような役割をしていて、柱などが置いてあるのだがそれぞれ番号やら記号やら書いてあって間違いのないようになっていた。
各パーツは、元の材料と同じように収集され加工され、当時の手法で組み立てられていく。
そのパーツの復元だけでも相当苦労しているようだ。
一度失ったものを元に戻すことはできない。
ただ、できるだけ忠実に再現して、できるだけ元の状態に近いものを復元する。
その技術がこの場所に詰まっている気がした。
復元現場から出て城壁の上を進むと人がすれ違う事が難しいくらい狭い通路になっていた。
その先は、東のアザナという城壁の一番高い櫓の跡になっている。
そこからは首里城の全体を見下ろす事ができ、更に那覇市内を見渡す事ができた。
首里城自体は、大きな覆いに覆われていて異質な感じに見えるが、ここから見下ろす沖縄の風景は、首里城が栄えていた当時から変わらない風景なのかもしれない。
首里城見学を終えて、歓会門まで戻ってきた。
ここから西のアザナの方へ入ったところに広い芝生広場がありその傍に首里杜館(すいむいかん)という建物がある。
中は土産物店、レストラン、そして休憩所を兼ねたカフェコーナがあるところだ。
あまりに暑かったので僕らは中で休憩する事にした。
カフェ龍樋という名前のカフェコーナーでメニューを見ていたら「沖縄ぜんざい」の文字がある。
「ぜんざい食べようぜ!」
ぜんざいと言えば、餅に餡子をかけた暖かい物という気がするが、沖縄は違う。
カキ氷なのだ。
甘く煮た豆の上に大量の氷が盛り付けられている。
どこかで食べてみたかった沖縄のスイーツだ。
「私は、シークワァーサーのアイス」
「エッ?ぜんざい食べないの?」
「うん」
日差しでほてった身体に氷の冷たさが染みていく。
優しい甘さのぜんざいは、とても美味しかった。
シークワァーサーもさっぱりしていて美味しい。
ごちそうさまでした。
再び、炎天下に出た。
坂道をノンビリ歩きながら首里城公園の入口まで歩いていく。
バスで市内中心部へ行こうと思ったのだ。
公園の入口にバス停があったが、ちょうど良い時間が無かったので別のバス停へ行こうと思う。
記憶を頼りに歩き出す。
坂道を下って通りに出ると次のバス停があったがここもバス時間が合わない。
更に坂道を下っていく。
山川バス停に着く。
ここは2方向からのバス路線が合流するところなので首里城前のバス停よりも本数が多い。
しばらく待つとバスがやってきた。
バスは、市街地へ向けて坂道を降りていく。
どこでバスを降りたら良いか考えていた。
地図を見てもどこをバスが通って行くのかよく分からず、バス停の名前と地名を睨めっこしながら辺りをつけた。
バスは、予想と違う道を走り、少しだけ予想と違う場所で降ろされた。
知らない土地でバスに乗るのはちょっと躊躇するが、意図しない場所で降ろされるのも面白いものだ。
僕らは、那覇市の繁華街へ足を向けた。
那覇市の繁華街、国際通りは観光客で溢れかえっていた。
道路を車が行き交い、両側の歩道沿いに土産物や、レストラン、グッズショップ等が並びその店を出入りする人が歩道を埋め尽くしている。
那覇市内一の観光地といっても良いだろう。
日本人よりもアジア系、欧米系の観光客の方が多いんじゃないだろうかという感じだ。
気になる店をのぞきながら歩いていく。
横の道に入るとアーケード街になっていて更に人口密度が増してきた。
どれだけ人がいるんだろう?
その人混みを交わしながら第一牧志公設市場へ行く事にした。
ここは、2階建て建物で、1階のフロア全体が市場で生鮮品、魚介類、野菜、お菓子などありとあらゆるものが並んでいた。
中央部が吹き抜けになっていて2階が見える。
2階は食堂街になっていて吹き抜けを囲むように店舗が並んでいる。
サンダーアンダーギーや、ジェラートなどのスイーツから、沖縄そば、海鮮やアグー豚などを使った沖縄料理まで様々な店が並び、お昼時というのもあってどこも混雑していた。
僕らはその中で、「あだん」というお店に入った。
テーブル席についてメニューを見て考える。
ミィは、チャンポンを頼む。
昨夜も食べたが、よほど美味しかったのだろう、今日も頼む事にしたらしい。
僕は最初から一択だった。
沖縄で食べたかったもの。
前回沖縄に来た時に食べて、もう一度食べたかったもの。
それが「骨汁」だ。
お盆の上にご飯と、丼が2つ。
一つは、空の丼。
もう一つには、山盛りの骨が入っている。
その骨をよく煮出したスープも注がれていて、このスープが美味しいのだ。
骨についた肉をむしゃむしゃと食べ、ご飯と一緒にスープを飲む。
これが至福の時なのだ。
沖縄料理といえば、もずくの天ぷら、海ぶどう、ジーマミー豆腐やアグー豚なんかが浮かび、本州の沖縄料理店でも食べる事ができる。
しかし、「骨汁」は、沖縄県外で見ることはないだろう。
とにかく、ここに来なければ食べる事ができない料理だ。
空の丼にしゃぶりついた骨を入れていく。
あっという間に骨の山ができてしまう。
ご飯食べとスープを飲み干すとお腹がいっぱいだ。
美味しかった。
ごちそうさまでした。
市場から出て再びキャラクターショップや、お土産屋をチラ見しながら、歩いていた時だった。
「あっ、美ら海って書いてある。」
美ら海水族館のアンテナショップ「うみちゅらら」があったのだ。
中に入ると、公式のグッズ、ぬいぐるみ、写真集などが置いてあり、ビデオが流れていた。
水族館のショップが、そのままここにあった。
ミィは、喜んで店内をぐるぐる回っている。
「あっ、これ可愛い」
気に入ったものを見つけては手に取っていた。
「昨日、水族館行ったし、美ら海のグッズ見たし。
もう、美ら海行った事にして良いんじゃないの?」
「えぇっ!
なにそれ!」
「そのうち、自分で行ったらいいじゃん」
いつか行ければ良いなと思うが、いつのことになるやら。
今日は、沖縄を離れなければならないのだ。
飛行機には乗り慣れていない。
普段、車や鉄道での移動が多く、飛行機での移動はあまり選択肢に上がらないからだ。
だからか、チェックイン、荷物検査などにかかる時間を想定して早めに行かなければならないという思いがあってギリギリまで観光ができないたちなのだ。
国際通りでぶらぶらしながら時間が気になって仕方なかったのだ。
だから20時発の飛行機に乗るのに那覇空港に16時過ぎには着いていた。
夕飯を空港で食べようと思っていたのだがそれでも余裕がある時間だ。
観光客でごった返す那覇空港の中を散策して回ることにする。
ポケモンとのコラボなのか大きなポスターや、ボードが掲げてあって、ミィが嬉しそうに写真を撮っている。
「夕飯食べに行くか」
ちょっと早めの夕飯を食べることにした。
レストラン街もあるのだが、空港の端っこにある「空港食堂」へ向かった。
沖縄最後の食事は、ゴーヤチャンプルとトーフチャンプル。
ようやくメジャーな沖縄料理を食べた気がした。
今頃だが、ブルーシールズのアイスも食べて、沖縄最後の晩餐とした。
ほんと、沖縄はなにを食べても美味しいな。
また来たいなぁと、思わせてくれる。
ごちそうさまでした。
飛行機は離陸すると光り輝く那覇の市街地を後にして、暗い海上を飛んでいた。
所々島陰があり点々と灯りが見えた。
あれが、与論島、これが沖永良部島、こっちが徳之島と、フェリーで寄港した島の名前を挙げてみるが、本当のところは分からない。
それでも暗かった風景が変わり、光の量が増えてくる。
薩摩半島か大隅半島の上空に差し掛かったのだ。
街の灯りが一段と増えてきたのが鹿児島市だな等と思っていると飛行機は高度を下げていった。
21時定刻通りに鹿児島空港へ到着した。
25時間かけてフェリーで通ったルートを、約1時間で戻ってきたことになる。
あっけなかったなぁ。
荷物を受け取ると、到着ロビーへ出る。
まだ1時間くらい離発着があるようで、思った以上に人がいる気がした。
僕らは、駐車場へ行き2日ぶりに車に乗り込むと、夜道を走り始めた。
鹿児島空港から30分ほど暗い山道を走り、ホテル国分荘についたのは22時を回っていた。
ちょっと古い建物で、昔からあるんだろうな、そんなことを思った。
ホテルに入るとロビーで幼稚園児くらいの子供がソファーで遊んでいてびっくりした。
こんな時間に子供?
カウンターでチェックインをすると、どうやら僕らば今日最後の客らしかった。
部屋へ行こうと荷物を持った時、受付の女性が子供のところへ行き子供と話をしていた。
どうやら家族経営らしいこのホテルのオーナーの子供なのだろう。
この時間までロビーにいたということは、僕らを待っていてくれたのか。
ありがとうございます。
ツインの部屋は十分すぎるくらいに広かった。
2つ並んだベッドとちょっとしたテーブルと椅子。
それにユニットバスがある。
無機質なビジネスホテルよりもずっと居心地が良い。
明日からは、また車の旅が始まる。
今日はゆっくりと休むことにしよう。
おやすみなさい。
2023/09/08(金)
天候:晴れ 最低 24.6℃/最高 31.0℃
沖縄県那覇市〜鹿児島県霧島市
走行距離:11.0km(車での移動のみ)
総走行距離:10302.8km
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